2009/07/17

あなたに言われたくない



7/17の記事で、『窪塚洋介、転落事故歌う「IKIRO」』というのがありました。

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俳優、窪塚洋介(30)がレゲエアーティスト、卍(まんじ)ラインとして、2004年6月の転落事故について歌うことが16日、分かった。8月5日発売のセカンドアルバム「VORTEC」の収録曲「IKIRO」。「とにかく生きろ、オレも生きてる」と歌う強烈なメッセージソングだ。サンケイスポーツの取材に「自分の魂の声を聞かせるには避けて通れない。これはオレにしか歌えない」と語った。(サンケイスポーツ)
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はー、あれは事故だったんだ。本当にそうなのかな?まあとにかく、綾瀬はるかの「ICHI」で一番と言っていいほどの存在感を持って演技していた名優だけに、死ななくてよかった。と思いつつ、なぜか徳光和夫アナが最近CMしているアステラス製薬の「コレステロールあまくみない!」とタクシー内でコレステロールを甘くみているサラリーマンふたりに喝を入れるというのが頭に浮かびました。※そのCMはこちら

「体験者が啓発・忠告する」という手法って今までにも数多く観ましたが、言ってる本人がそれが原因で倒れて危なかった訳で、「コレステロールを甘くみてたのはあんたじゃん!あなたが日頃不摂生して倒れたのに、何をその道のオーソリティみたいに言ってるの?と思ってしまいます。

例えば、地震の被災者が体験したことを基に忠告してくれるのはわかります。日頃から気をつけていても不意の災害はどうしようもありません。その中での反省点や改善点は実際味わった人でないと、細かいところまではわかりませんし、説得力があります。聴いて損はありません。
でも、徳光アナのような場合はどうでしょう?倒れて、身体のここがまだ不自由しているとか、入院するとこんなに金がかかる、迷惑がかかる等々…そういう体験談を話してくれて、その上で「私はこれからそうならないように注意します」というのならわかります。
しかし、普通にまじめに生活している人に「甘く見るんじゃない!」なんていうのは大きなお世話です。

それとは少し違うかも知れませんが、昔暴走族で無茶していたひとが、更生していまでは子供もいる温かい家庭を持っているという苦労話みたいなのをテレビで観ることがあります。VTRが終わって、必ず誰かの顔のアップ。涙を映しています。
こういうのにも私はまるで感動しません。まじめに暮らしていたひとが一番で、それこそそういうひとが褒められるはずで、悪で他人に迷惑をかけてきたけれど、更生して云々なんていうのはおかしな話です。確実にその悪のために迷惑を被り、今でも傷になっているひとたちがいるのですから。
悪の道から正の道になるより、正の道を貫き通すほうがスゴイのです、絶対。

昔こういうのと同じような場面で「登校拒否の子」を取材した番組があり、それを観て感動したことがあります。それは話の内容にではなく、Vが終わって案の定涙を映して、その泣いたひとが「いい話ですね、こういう育て方もありますよね」と言ったところ、北野武さんが「そうか?俺はみんなが嫌でも行っている学校という集団に、無理にでもこの子も行かせるべきだと思うけどなぁ」と、なあなあになりがちなお涙頂戴路線をもののみごとにぶった切ってくれました。

そんないろいろ考えずに、さらっと長いものには巻かれておけばいいという風潮が、あまりにも広がってきている気がして、「それでいいのか日本人!」と先行き心配しています。

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